レトルト食品の殺菌技法

食品の加熱殺菌において、食品のpHと水分活性(Aw)は殺菌条件の程度を決定し、殺菌効果を左右する最も重要な要素となります。微生物は、一般に中性域で盛んに増殖し、pHの低い酸性や逆に高いアルカリ域では活動が低下すると言われ、水分活性(Aw)が高いと活動が活発となると言われています。レトルト殺菌処理のような加熱殺菌を行う場合、食品のpHが4.6より低い食品を「酸性食品」、4.6より高い食品を「低酸性食品」と呼んでいます。耐熱性のある芽胞を形成するボツリヌス菌はpH4.8以上の食品中で生育し毒素を産み出すため、「低酸性食品」を加熱殺菌する場合は、ボツリヌス菌対策が必要となります。レトルト食品は、食品衛生法の「食品、添加物等の規格基準」中の「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」に含まれますが、当規定では、そのpHが4.6を超え、かつ水分活性が0.94を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品では、加圧加熱殺菌する場合、中心部の温度を120℃、4分間加熱する方法、またはこれと同等以上の効果を有する方法により殺菌しなければならないことになっています。レトルト食品の加圧加熱殺菌にはレトルト装置が使用されますが、加熱媒体の違いから、蒸気-空気混合系と熱水系の2つに分けられ、被加熱体のレトルト内の動きから、「静置式」と「回転式」に分けられ、一方「パッチ式」と「連続式」にも分けられます。「パッチ式」には、蒸気方式、熱水方式、熱水シャワー(静置)があり、一方「連続式」には「静水圧方式」と「水封入方式」があります。レトルト食品の大部分は、蒸気方式、熱水方式、および熱水シャワ一方式レトルト殺菌装置によって加圧加熱殺菌が行われています。これら各方式にはそれぞれ特徴があり、特に、加熱媒体の違いにより、圧力制御関係に特徴の違いが見られます。金属缶詰のレトルト殺菌には、蒸気方式の無加圧殺菌が採用され、レトルトパウチに蒸気式レトルトを採用する場合、定圧殺菌が行われ、一般的に加熱→殺菌→給水→冷却→排気→終了という工程を踏みます。冷却が完全に終わるまでは、加圧が続けられます。現在では、レトルトパウチの殺菌は、熱水式や熱水シャワ一式レトルト殺菌が一般的に採用されています。熱水シャワ一式のレトルト装置では、各トレイ四隅上にスプレーノズルが配置されたタイプのものもあります。このタイプでは、段積みされたトレイ1枚ごとにスプレーノズルにより熱水が吹き付けられるので、非常によい熱効率が達成されています。熱水式、熱水シャワ一式レトルト殺菌工程は、レトルトパウチの場合、加熱→殺菌→給水→冷却→排水→排気となります。パウチ内圧力の高まりに対しては極めて弱いが、パウチ外圧力の負荷に対しては極めて安定しているため、急速加熱、急速冷却が可能なため「定圧殺菌」が適用されています。一方、成形容器の場合、その工程は、加熱→殺菌→給水→冷却→排気となり、外圧力による容器変形を防止するため、熱水または熱水シャワ一方式のレトルト装置で、等圧制御が行われています。レトルト食品の品質を高く維持するため、熱履歴を少なくすることが望ましいと言われています。レトルト殺菌温度は120℃が一般的ですが、殺菌温度をさらに高くすると、同じ殺菌効果を得るのに必要な殺菌時間を短くすることも可能です。例えば、120℃、4分と同等の殺菌条件は、135℃では8秒、140℃では2秒となり、「高温短時間殺菌法(HTST法)」が考案され、適用されています。現在、HTST法の殺菌温度としては、135℃が一般的です。

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